もうそうびと

2025.10.02 空き家オーナー

おもしろい熊谷のビル目指します!しろくまビルヂング前編

おもしろい、熊谷のビル??

熊谷の中心市街地にて、空きビルをリノベーションした、「しろくまビルヂング」について紹介します。

 突然ですが、皆さんは「空き家」に対してどんなふうに感じますか?早く取り壊して新しい建物を作ったらいい、そう考える方もいるかもしれません。私も以前はそう考えていました。しかし、その建物は街とともにすてきな思い出を彩ってきたのかもしれません。そして、これからも、灯が絶えることなく、ずっと残り続けるのなら…そう考えたら愛着が湧いてくるかもしれません。そんな愛着と共に、今回は熊谷一面白いビル しろくまビルヂングのルーツを紐解きながら、ビルオーナー白田さんの思いをお伝えします。

 「元原口酒店」は、大露路(おおろじ)商店街の並びにあります。大露路商店街は国道17号と星川通りに面しており、熊谷駅から徒歩10分のところにある商店街です。現在でも、昔ながらのお蕎麦屋さんやホルモン焼き屋さんが賑わっています。新規参入する方もおり、かつての趣を残しながら新しい風が交わるスポットです。昔はどんな姿だったのでしょうか?

大露路商店街

 時は昭和27年、戦後から7年が経っていました。空襲の被害にあった熊谷市街地でしたが、このころになると街はいろんな商店街で溢れかえっていました。当時、大露路商店街周辺には何十件とお店が立ち並んでいたそうです。映画館は商店街周辺に5軒、漆器屋、仕立て屋、芸者の置屋、馬や牛の装蹄をする場所もあったそうです。お正月には一軒一軒門松が飾られたり、商店街の七夕祭りでは、お店ごとに竹籠のくす玉や七夕飾りを作って飾ったりと、祭事のときは一段と華やかだったそうです。

 原口酒店はそんな時代からあったお店でした。お酒の卸売業をしていたお店で、1階正面がお店入口、1階裏はお酒の倉庫、2階が事務所、3・4階は住居として使用されていました。酒屋の裏には一斗樽(いっとだる)がたくさん積まれていたそうです。今では滅多に見られない光景に圧倒されそうですね。

 商店街という場所はお店の人同士のつながりも強いですが、お店とお客さんのつながりも密接なのが特徴的です。お店屋さんもお客さんも顔を合わせて声をかけ合う、困りごとがあったら助け合う、そうして誰もが「誰かのために役に立てる」「社会に貢献できる」そんな人間模様が見られるところが商店街の魅力でもあると思います。元原口酒店の周辺にも熊谷の中で生活がまかなえるぐらい多様なお店が並んでいたそうです。

 しかし幸か不幸か、続々と商業施設が増えると次第に多くの人が流れていくようになり、商店街も衰退の道を辿ることとなります。原口酒店も商店街の衰退と共に閉店することになりました。

その後、ビルは残したまま正面入口に自動販売機を設置していましたが、かつて賑わっていた原口酒店の存在はすっかり忘れ去られてしまったのです。

 時は流れ数十年後、このビルに新しい風を吹き込もうとした人物がいました。その方こそ、オーナーの白田(はくた)さんです。白田さんは、草加市で活動していましたが、ご結婚とともに奥様のご実家のある熊谷へ拠点を移すことになり、そこで元原口酒店の建物と出会いました。

そして、しろくまビルヂング誕生

 そして2024年、元原口酒店は白田さんの手によって「しろくまビルヂング」として生まれ変わりました。

 白田さんが目指したのは、1棟のビルが商店街のようにいろんな人で賑わう姿でした。「ハレの日もケの日も楽しめる場所にしたい」白田さんはこのように語りました。お店屋さんもお客さんも顔を合わせ、会話が広がっていく、あの頃の活気溢れる商店街の様子はまさに日常そのものです。お祭りの時は多くの人で賑わいますが、なんでもない日も、人との交流を通して誰かの些細な幸せに繋がるかもしれません。

 さらに白田さんは「熊谷に住んでいてよかったと思えるような場所にしたい」「何かにチャレンジしたい人の背中を押せるような存在でありたい」とお話していました。白田さんは、この場所がオープンしてからさまざまな方のチャレンジを応援し、見守ってきました。熊谷という街は、アクティブな方がとても多いように感じています。これからさらにどんな形でしろくまビルヂングがアップデートしていくのか、とても楽しみです。

「面白い・美味しい・楽しそう」な場所に人は集まる

 これは、白田さんがイベントを企画するときに大切にしているモットーです。シェアキッチンで「金クマ」のイベントも、飲食とあらゆるものをかけ合わせるというテーマで開催しています。9/12(金)の金クマイベントでは、ワイン×陶芸のイベントが開催されていました。焼きあがった陶芸作品を使ったお茶会も開かれるそうです。いろんな人と繋がれるだけでなく、いろんなイベントも活用しながら「しろくまビルヂングに行きたい!」と思える環境はとてもすてきな循環だと感じました。

「空き家を活用して収益を生み出す」ということ

 また、白田さんは、空き家活用後も継続して収益を出すことを重視しています。空き家を活用して満足ではなく、オープンした場所を持続的なものとして機能する仕組みづくりが重要だと、白田さんは語ります。

おわりに

 いかがでしたか?今回は熊谷一面白いビル しろくまビルヂングのルーツを紐解きながら、ビルオーナー白田さんの思いをお伝えしました。

 現代では、人付き合いが苦手と感じる方も多いかもしれません。しかし、そんな中でも人とのつながりを通して誰もが生活しています。それゆえに、助け合いが鍵を握ることもあります。「困った時はこの人に相談しよう」そんな人が一人いるだけでも心強いですよね。そんなつながりが、しろくまビルヂングで作れるかもしれません。新しい出会いも広がるかもしれません。新しい世界観が広がっていくかもしれません。そう考えたら、とてもワクワクしませんか?

 「しろくまビルヂングに行ってみたい!でも何したらいいの?」と思った方、次回の記事でしろくまビルヂングのフロア内をご紹介します。あなたに合った利用の仕方がきっとあるはずです。ぜひ併せて読んでみてください。